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玉露の価値をつくる

「自分の茶に自信を持っている」と話すのは、玉露の日本三大産地で有名な「朝比奈」地域で茶業を営む遠藤昇さん。遠藤さんは高校卒業後すぐに、祖父の代から続く茶農家の後継者として就農しました。就農当時は、朝比奈地域で玉露を栽培している農家が100軒以上あったそうですが、高齢化が年々進み、後継者も少なく、今では12軒ほどになってしまいました。遠藤さんはこの状況にも屈せず、煎茶・てん茶・かぶせ茶など約130アールの茶園を管理し、その内の約50 アールで玉露を栽培しています。 遠藤さんの玉露へのこだわりは茶園の土作りから始まります。茶樹の生育状態を見極め、定期的に10アールあたり1トンの牛糞を入れます。この作業で、栄養バランスの良いふかふかの土を作っています。 また、玉露に使う茶葉は手摘みの一番茶の新芽のみ。乾燥するまでの火加減が難しく、工程ごとに茶葉の感触を手で確かめ、長年の感覚を頼りに安定した高品質のお茶を作っています。遠藤さんは「味やできは天候によって毎年変わるので、40 年以上作ってきた今でも茶作りには満足していない」と話します。より良い品質への妥協しないこだわりが実を結び、数年前より玉露の価値が上がってきたことを教えてくれました。 遠藤さんは玉露の魅力をたくさんの人に知ってもらおうと、地域や行政、観光会社と連携し、茶摘み体験やお茶のいれ方体験などを行っています。今後も新たなファンを獲得し、玉露の普及に力を入れていきます。

藤枝市岡部町宮島 遠藤昇さん 広報誌 2019.6月号 掲載