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川根茶をつなぐ伝道師

 川根本町で茶を栽培して40年になる高木郷美さん。甘みとコク、爽やかなのどごし、高級感のある渋味が特徴である浅蒸しの川根茶にこだわります。ファンを増やし、多くの人に飲んでもらえるよう、地域と協力してイベントの企画やSNSで発信するなど川根茶の普及に力を入れています。妻の聖子さんと茶園を管理し、製造するだけでなく販売も行います。

 茶を作り続ける中で、時代とともに消費者の傾向が変わってきたと感じています。消費者が好みの茶を選ぶ時代だからこそ、対面で自分が入れた茶を飲んでもらうことが重要で「生産者は作った茶を消費者に飲んでもらうのを待つだけではなく、自分でも茶の入れ方を勉強するべき」と力強く話します。

 高木さんは、茶の奥深さを伝え、先人が作ってくれた川根茶を守りつないでいくことを使命としています。茶の魅力や本質、本当のおいしさを知ってもらいたいと、自宅の庭を整備し、人が集うテラスを作りました。水や入れ方で茶の味が変わるため、最適な温度と時間で入れた茶を出して、消費者の意見を直接聞いています。

 茶作りに妥協はせず、草取りや水やりの他、生育状況を確認するために年間300日以上も茶園に出向き管理をしています。今年も丹精込めて育てた茶が摘採期を迎えました。「川根地域まで少し足をのばし、茶を飲みに来てほしい」と笑顔をみせます。

 

榛原郡川根本町下長尾 高木郷美さん・聖子さん 広報誌2023.5月号掲載