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新しいことへの挑戦がおもしろい

 10種類以上のかんきつを育てる伊藤茂樹さん。果樹園はミカンや不知火(しらぬい)、カボス、スダチなどで賑わっています。

 茂樹さんは代々続く農家に生まれました。高校卒業後はかんきつ専門の研修所でミカン栽培を学び、家業の農家を継いで就農しました。しかし、就農後すぐに、ミカン価格の大暴落に見舞われ、生計を立てるために企業へ就職して兼業農家となりました。定年退職間近の時、「せとか」や「あすみ」など多くの品種があるかんきつ類に魅力を感じ、茶園や田んぼを全て果樹園に変え、かんきつ生産一本に力を入れることにしました。

 栽培は、消費者に喜んでもらえそうな品種を見つけて取り入れていくスタイルです。「年々、おいしい品種が増えてきている。色々な品種を提供し、消費者を笑顔にしたい」と話します。

 最近では、「リスボンレモン」と「日向夏(ひゅうがなつ)」を掛け合わせた品種「璃の香(りのか)」の栽培を始めました。大人の手の平ぐらいの大きさで種が少なく、果肉が豊富で果汁もたっぷりなのが特徴です。酸味がやわらかく、そのままでも食べられます。栽培方法はミカンとほとんど同じなので、ミカンの栽培技術を生かすことができました。

 「璃の香」は1月頃まで出荷しています。搾った果汁は、焼き魚にかけたり、炭酸で割ったりするのがおすすめです。また、表面を薄く切った皮は、シフォンケーキなどのお菓子作りにも使えます。

 「常に新しいことに取り組むことでモチベーションが上がる。これからも様々な品種にチャレンジしたい」と日差しの下のミカンのように明るい笑顔で茂樹さんは話します。

焼津市小浜 伊藤茂樹さん 広報誌2024.1月号掲載