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未来へつなぐ農業を

杵塚一起さんは藤枝市の有限会社 人と農・自然をつなぐ会の2代目代表です。初代の父、敏明さんは有機茶の栽培や普及活動で広く知られた人物です。

一起さんは「やるからには父親より良いお茶を作ろう」と20歳で就農。2019年に代表を引き継ぎました。

先代の名声やお客様からの期待をプレッシャーに感じながらも、有機茶の栽培だけでなく、加工や研修生の受け入れなど、さまざまな形でお茶づくりに取り組んでいます。

有限会社 人と農・自然をつなぐ会では、「良い土をつくる」ことをモットーとしています。

有機栽培では、土の中の微生物が茶樹の成長に大切な役割を果たします。微生物にとって住みよい環境の土を作るため、飼育している馬の糞から、自家製の堆肥を作ったり、世界農業遺産認定の「静岡の茶ちゃ草ぐさ場ば農法」も取り入れたりしています。他にもお茶の育成に良いと考えて、草そう生せい栽培にもチャレンジしています。

また、お茶の普及活動にも積極的です。茶の栽培技術を学びに来た海外からの研修生を年間20人から30人受け入れ、指導しています。帰国後にお茶の生産や販売、カフェをはじめる人もいて、研修後も交流が続い

未来へつなぐ農業をています。

耕作放棄地の再生にも取り組んでいます。放棄地は景観が悪くなるだけでなく、野生動物の住処や、病害虫の発生源になるなど様々な影響があります。荒れた茶園を買取り、これまで5カ所の放棄地を再生しました。乗用型管理機を乗り入れられるようにするなど基盤整備を行い、作業の効率化も意識しています。

「畑を守る。技術を守る。次世代の生活を守っていく。それが現役世代のやっていくことだ」と話します。

「未来をつなぐ若者たちが、農業への志を持てるよう環境を整えていきたい」農業の発展を願い、一起さんはこれからも広い視野で農業に向き合っていきます。

藤枝市滝沢 杵塚 一起さん 広報誌2023.5月号掲載