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家族のそばで 私が選んだ農の道

藤枝市堀之内で野菜や花、多肉植物などさまざまな農産物を栽培する山上基嗣さんと妻の美妃さん。

会社員時代、基嗣さんは2009年から南米ブラジルへ5年ほど単身赴任していました。帰国後、妻から告げられたのは娘の病気でした。家族のそばにいられる環境を求めて、前職を退職。もともと農家をしていた美妃さんの実家の畑を借りて就農することを決意しました。

長く使われていなかった畑は雑木林となり荒れていました。その時、ブラジルで出会った日系人の方との会話を思い出しました。「木を積んでいるけれど、これはなんですか?」「これが腐葉土になって良い土になるんだ」。〝ジャングルを農地に変えた方法〟でこの荒れた土地でも畑はできると確信し、生い茂った木を伐採し、廃木を積み上げるところから畑作りがスタートしました。

基嗣さんは自分たちの限りある土地を生かすには、多品種の珍しい野菜で他との差別化が必要だと考えました。珍しい野菜を調べ、育て、食べてみることで栽培する野菜を選んでいます。クウシンサイやビーツ、リーキなどは飲食店からの要望もあり売れ行きは好調です。

「不安定要素はたくさんあるがその分知恵を絞り、突き詰めていけるところが面白い。農業をやっていくうちにどんどん興味が湧いてきた」と基嗣さんは言います。

今では娘さんも元気になり、農業を手伝ってくれるそうです。娘さんの大好物は畑でとれたジャガイモのポテトサラダ。「これからも家族で食卓を囲んで、新鮮な野菜と笑顔あふれる会話を楽しみたい」と基嗣さんはうれしそうに語りました。

藤枝市堀之内 山上基嗣さん 広報誌2024.9月号掲載