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農業と向き合って半世紀以上

 55アールの水田と息子さんの管理する1ヘクタールの有機茶園を手伝う傍ら、ビニールハウスでカブなどを栽培する孕石路男さん。高校を卒業後、一般企業で3年間勤めた後、実家の農業を継ぐ形で就農しました。農業を始めて54年。半世紀以上農業に携わる中で、たくさんのことを経験してきました。

 初めてハウスを建てた年、当時はトマトを栽培していたのですが、その年の台風によってハウスが倒壊してしまいます。「さあこれから頑張るぞ!」という時の出来事だったため、心が折れそうになったそうです。

 ビニールハウスでカブを育てる孕石さんは水管理にこだわります。カブが大きくなるには水が必要ですが、たくさん与えすぎると病気になりやすく、腐ってしまうので、絶妙な水加減を長年の経験で調整しています。ビニールハウスで栽培するカブは直接雨風にさらされないめ、表面がきれいに仕上がるそうです。また、「まんさいかん」に出荷する際の袋詰めにも気を使っています。「葉も商品」と考える孕石さんは、出荷の際に葉に傷がつかないように長めの袋に入れて出荷しています。

 「人間が生きる根幹である『食』を請け負う農業ができることは励みだし、誇りに思う。息子と妻と共に協力しながら、たまにケンカすることもありますが、楽しくやっています」と孕石さんは話します。自分が作ったものを買ってくれたお客さんが「おいしい」と言ってくれることが何より嬉しいそうです。「量」より「質」を重んじ、食べてくれる人のことを思いながら農産物と向き合います。

島田市大代 孕石路男さん 玲子さん 広報誌2024.12月号掲載