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バラ農家から転向した挑戦

海に近く、日当たりのよい田畑の広がる地域で、ホウレンソウやセルリーなどの野菜栽培をしている多々良智広さん。

40年間続けたバラ栽培から、10年前に重油の高騰がきっかけで野菜のハウス栽培に転向しました。

ホウレンソウの栽培を始めたのは7年前で、きっかけは10年前から栽培しているセルリーに栽培管理方法が似ていたからです。また、現在もセルリー部会に所属しており、市場担当者と話す機会も多いため野菜の需給情報の収集にも力を入れています。また、ホウレンソウ栽培では暑さ対策として遮光を徹底し、さまざまな品種を試すなど長期間にわたり出荷できる工夫をしています。

品種選びは、3年かけて30種類を試し、ようやく5つの主要品種を選び出しました。当時を振り返り「失敗もたくさん重ねた」と笑います。

そんな多々良さんのこだわりは、葉が肉厚で柔らかく甘みの強いホウレンソウを育てることです。ハウス栽培が盛んな静浜地域にある静浜営農経済センターにはハウス栽培に適した有機肥料が充実していて、ホウレンソウにあった肥料の選定には大変役立ったそうです。

そして、大切に育てた農作物の出荷には“丁寧に”を心掛けています。もともとバラを栽培していたため、商品のラッピングは慣れたものです。特にホウレンソウは必ず水洗いし土を取り、すぐに調理できる状態で出荷するため、主婦層からの人気は抜群です。

かつて、自身も試行錯誤をしていた頃、多くの人に助けられ今度は自分が困った人の力になる番だと思い、今では新規就農者からの相談にも応えています。

その際には「作物はできたものを出すのではなく、自ら考えて作ったものを出す」と信念を添えて伝えています。

焼津市下江留 多々良智広さん 広報誌2025.3月号掲載